「余白の音」に耳を澄ませて。

珈琲とからだ、ときどき言葉

手鍋焙煎をやってみた

本日、焙煎しようと思ったらガスがなくなってしまいました。
せっかくなので、以前からやってみたいと思っていた、手鍋焙煎をやってみました。

手近に良いサイズ感の手鍋がなかったので、改めて購入してみました。せっかくなら鉄製とかないかと探したんですけど見当たらないので、フッ素加工の16cm手鍋にしました。

ちなみに参考にしたのは、大阪のハマ珈琲さんのyoutube動画です。
ブラジルを焙煎してみました。200g入れてみましたが少し量が多いようで、なかなか揺するのが大変でした。

火にかけてから数分、生豆の色は変わりませんが、蓋が曇りはじめました。甘い青臭い湿った香りがしてきました。するとチャフが取れてきましたし、色合いも白っぽくなってきました。

しばらくすると段々と薄茶色に変化し、青臭さが抜けて甘くて茶色い香りに変化してきました。そこからはとても早かったです。色が付き始めたかなと思ったら、爆ぜ始めて、爆ぜてきたら一気に色がついてきました。

いつもは焙煎機のなかで踊っている豆しか見れないので、爆ぜている瞬間をしっかり見れたのでとても貴重な経験になりました。

しまったことに冷却用のザルを用意し忘れて、鍋を放置するというハプニングもあり、二ハゼ手前くらいまで来てしまいました。明日には油が浮いてきそうです。

そしてそのお味はびっくりなめらかで、甘いんです。びっくりしました。
ここまでの深煎りは初めて焼いたんですけど、こんなに甘くなるんですね。

何より一番の驚きは、液体のなめらかさです。
手鍋で初めて焙煎したので、要はテキトーです。

それこそ火力の操作なんてしてませんし、完全に蓋は閉めっぱなしで焙煎してたので、乾燥させようとか考えていませんでした。蓋が蒸気で曇ったところなんて、まさに蒸し焼きですもん。だから”蒸らし”って呼んですかね。

以前、生豆を茹でてから焙煎したときは、えぐみはどこから来るのかを知るためでした。もし「生焼け」が原因なのだとしたら、焙煎前に火を入れてしまえばいいんじゃないかと思って茹でたんです。そしたら、とてもキレイなコーヒーになりました(ただ、とてもメイラード感たっぷりのべっこう飴のようなコーヒーになりましたが)。

今回、手鍋で焙煎したコーヒーを合わせてみても、生豆に火を通せば、えぐみのないコーヒーを作ることができるんだと思います。水が抜けていようが、抜けていなかろうが、芯にまでしっかり火が通っていれば、とりあえず美味しく飲めるコーヒーができるんだと思います。「火が入った状態 ≠ 焼けた状態」なのだと思います。なので、乾いてしまったら焼けちゃうんだと思うんですよね、火が入っていなくても。

そして、以前書いたように、水分が多ければ、メイラードが活発になり個性を失うし、加水分解反応も起こるので、渋みが出てくると思われます。それはちょっと困るので、焙煎の工程でも火入れ、乾燥、焙煎、発達の4段階になりそうですね。

そういえば、低温焙煎で焼いたコーヒーは甘いことが多いんですけど、もしかしたらこの火入れと乾燥が大事なのかなぁと思ったりします。ここで対流なんて起こしたらすぐに表面が乾いてしまいますからね。それこそ蓋を閉めて芯から水分が抜けるまで時間をかけているのかもしれません。前職で扱っていたのは循環型の完全熱風焙煎機でしたが、無謀にも低温焙煎をしようと試みたことがあります。どうやってもトロっとした液体はできないし、えぐくなることの方が多かったのは、火が入る前に乾燥してしまったのだろうと思います。