「余白の音」に耳を澄ませて。

珈琲とからだ、ときどき言葉

どうしたら甘さは出せるんかなー

もっと甘くしたい!
どうしたら甘くなるんだろうか?

…ん?…甘く「なる」んか?
焙煎で甘くするもんなんか?

確かスペシャルティコーヒー協会のカッピングでは、
甘さは熟度と関係があるとかなんとか。

熟度と関係があるのであれば、焙煎でできることは、甘さを維持することだけでは?

昔、ネットや書籍を漁りまくって先入観として入っている知識を振り返れば、
甘さとはメイラード反応によって作り出されるもんだと記憶されてますが。

ここでその前提をひっくり返して、コーヒーはもともと甘いのである(仮)と考える。
もちろん、収穫時の生豆の熟度に応じてである。だからまず、いい豆を買おう。

さて、こう考えると、自分で焼いたコーヒーが甘くないなら、
それは焙煎によって消しているということになる。


そういえば…という感じなのだけど、しばらく前の感覚を思い出しました。
当時、ハゼから煎り止めまでの時間、Development Time (DT)と言われるものを
1分くらいにしていました。大体、ハゼのピークぐらいで煎り止めてました。

何でこれくらいにしていたかというと、長いと甘さを感じなくなっちゃうから。
当時のメモだと、酸味が”露出”とか甘さの”消失”って書いてあります。
「ほのかに甘さの裏側に見え隠れしていた酸味が、甘さの消失により露出した」
と感じていたようです。


当時はあまり意識していませんでしたが、ちゃんと経験していたようです。
甘さが残るようにするために何をするべきか。一つは適切なDTを選択すること。



二つ目は、今日の焙煎で思いついたんですけど、Yellowingでの対処です。
過去のプロファイルによると4月末頃まではYellowingではガス圧を下げていました。
イメージではスコットラオのようにRORを逓減させている感じでした。

それが、いろんなことを試していく過程で、知らぬうちに減圧をしなくなっていました。
メモが残っていなくてあまり覚えていないんですけど、
確か、コーヒーが水っぽくなってしまったからだったと思います。
それを煎り込みが足りないのだと判断した結果だったのだと思います。

そこに気づいた今日、久しぶりに減圧して焙煎をしてみたんです。
そしたら、甘さがぐっと感じられて、久しぶりに、美味しいって思えました。
ここ最近は酸味ばっかりで甘さを感じれないコーヒーばかり焼けていたので…。

そう、Yellowingで供給する熱量を抑えることで、
酸味が控えめになり甘さを感じるようになったんです。



Yellowing以降、メイラード反応やカラメライズ反応が起こっているのだろうと思います。
以前、書いた気がしますが、いずれの反応も糖が使われます。

糖が使われることが、直接的に甘さが減ることに繋がるのかどうかはわかりませんが、
メイラード反応以降 火力を抑え、かつ一番焼けやすいハゼ以降のDTを抑えることで、
甘さを維持することができるような気がしています。※…したら深煎りはどうすべきか?

逆にYellowing以降に火力を強くし、しっかり煎り込むことで酸味が前面にでるはずです。


ちなみに、水っぽさはどうだったか。
ありがたいことに、感じませんでした。

これまで、火力をいじるのはハゼの前後、以前であればYellowing以降からでした。
けど、最近はボトムを超えて少ししてから、昇圧させています。
この水っぽさを感じにくくなったのは、この操作のおかげかもしれません。

その心は、蓄熱の高い釜であったら、どのような状況になるだろうかを考えて、
再現しようと思ったからです。

蓄熱性の良い釜であれば生豆が投入されても、表面温度はあまり変化しないでしょう。
生豆が温まると水分の蒸発も起こり、当然 釜の熱量もより多く奪われるでしょうが、
やはり、その分をまかなうほど、しっかりとエネルギーを保有しているでしょう。

ディスカバリーでも、ここを再現したかったんです。
水分が蒸発しはじめ、より多くの熱量が生豆に奪われていく段階で、
必要十分な熱量を供給するために火力を操作したわけです。

ワイルド珈琲さんのサイトでも、コーヒー液が薄い場合の原因は、
生豆が白んできたタイミングでの供給熱量が足りないことであると指摘されていました。
そのこともあって、ここの熱量をしっかり保つことができれば、
水っぽさがなくなるだろうという打算もありましたが、それが上手くいったようです。