「余白の音」に耳を澄ませて。

珈琲とからだ、ときどき言葉

続けるために大事なこと ― 時間への配慮 ―

何か新しいことを始めたくなるのは、

春の陽気のせいでしょうか。


続けることができない病のボクは、

また凝りもせず習慣本を漁るのです。




この本は、続けるためのテクニックが紹介されてるんだけど、一番印象的だったのは、

 今、理想的な状態であるかどうかは問題ではなく、

 理想に向けた行動ができているかどうかに、

 目を向けてあげなきゃいけない。

という考え方。


え?ちょっとまってよ。

そもそも努力しようってモチベーションは、自分が理想とする状態になることじゃん。

そこの達したかどうかってのが一番の気になるところなのに、そこは問題じゃないん?



合点がいったのは、この文章を読んでから。

 たとえ今、少し貯金したからといって、まだ億万長者というわけではない。

 三日続けてジムへ行っても、すぐに体形は変わらない。

 今夜、中国語の勉強を一時間しても、まだまだ身につかない。


 引用:ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣


今、貯金したからといって、今、億万長者になれるわけじゃない。

今、新しい英単語を覚えたからって、今、話せるようになれるわけじゃない。

今、筋トレしたからって、今、マッチョになれるわけじゃない。

今、運動したからって、今、痩せるわけじゃない。

今、新しい知識を学んだからって、今、天才になれるわけじゃない。


とても当たり前のことなのに、全然頭になかったこと。

そうだよね。どうしたって時間がかかるわな、と。


どんな目標にも時間が必要であることを理解しているから、

今すぐに結果は出ないことを理解しているから、

いやむしろ今すぐに結果が出ることを期待していないから、

そりゃ今すぐほしいけど、それは無理でしょうよ、と。


続けなければ、結果が出ないことを知っているから、

続けるために、モチベーションを壊してしまわないために、

結果ではなく行動に目を向けてあげるべきなのだ。




振り返れば、ボクの続かない原因はここにあったなと思いました。

決して、行動してなかったわけじゃない。

焦っていたからか...。急いでいたからか...。不安だったからか...。

結果は今すぐ手に入らないと知らなかったというよりも

今すぐできなきゃいけない、という強迫観念みたいなものが確かにありました。

がむしゃらになるほど、結果を求めてしまい。

結果が出ないことに、非常に苦しい思いをしました。


一種の諦めに近い感覚を今、持っています。

今すぐ結果を求めるその気持ちを手放すというか。


これが続かない病に効く薬となりますように。

暗算力強化

例えば、6なら4とか12とか、7と8なら15とか、9なら18とか…

ある数字を思い浮かべると関連のある数字も一緒に思い浮かぶのは、

買い物で釣銭の計算をしているからかもしれません。

足し算、引き算なら大丈夫。

掛け算も…まぁまぁいけなかない。

でも割り算はちょっと苦手というボク。

内容量は同じだけど、あっちとこっちじゃ、どっちが安い?

みたいな計算は、電卓頼み。


うすら寒い懐事情から頻発するこの問題に、暗算できたらどんなに楽か!

ということで、暗算本を買いました。



ずいぶん昔にインド式というのが流行ったときに、試しに買ったことがありました。

こういう場合はこれを使って...こっちの場合はあれを使って...

みたいな条件がとても多様だった印象があります。

どの条件を使うのかを思い出してる間に、計算できたんじゃね?みたいなことが多く、

どうやら暗記物がとても苦手なボクは、続けられなかったようです。



それでこの本は?というと、ちょっと毛色が違ったようです。ワクワク

紹介されていた計算方法を少しだけ書いてみたいと思います。


 ① 589 + 762

   600 + 762 =1362 (589を600に置き換えて)

   1362 - 11 = 1351 (600に置き換えて、多く足していた分の11を引く)


 ② 1012 - 676

   1000 - 676 = 324 (1012を1000に置き換えて)

   324 + 12 = 336 (1000に置き換えて、足りなかった分の12を足す)


 ③ 54 × 15

   54 × 10 = 540

   54 × 5 = 54 × 10 × 1/2 = 540 × 1/2 = 270 (5は10を半分にしたもの)

   540 + 270 = 810


 ④ 62 × 0.55

   62 × 0.5 = 62 × 1/2 = 31  (0.5倍は半分にすること a×0.5=a×1/2)

   62 × 0.05 = 62 × 0.5 × 1/10 = 3.1 (0.05は0.5を1/10したもの a×0.05=a×0.5×1/10)

   31 + 3.1 = 34.1 (それぞれを足し合わせる)


個人的には④がとても印象的でした。

小数点なんて速攻で電卓行ですから。

そして何よりも面白かったのは、

どの解法も数字が持っている特徴をとらえて計算を簡略化してる点です。


上の例でいえば、①と②はキリの良い数字に近いという特徴を

③は、A×5はA×10の半分であるという特徴を利用しています。

5倍の計算よりも2で割る方が早くできる人には重宝される考え方です。

④は、0.5は半分を意味し、0.05はその10分の1であるという特徴を利用しています。


法則やルールを覚えることなく、

数字を見たときに思い浮かぶ特徴を利用して、計算を簡略化する方法は、

ちょっとした目から鱗の気分でした。


数字から受ける印象は、人それぞれに違う。

そこからどんな特徴を捉えるかも人による。

それぞれが自分にあった計算方法を選択できる。

その自由度が面白いと思う。


ただの計算練習ではなく、

計算しやすいように工夫するちょっとした頭の体操になって、地頭が良くなりそう。

毎月の食費が抑えられたら なおのこと良い!

想定の内側と外側

高加水パンというやつを作ってみました。

ここ最近の趣味みたいなもので、けっこう頻繁に焼いてます。


加水率の高いパンはハード系によくあるらしいのだけど、

その魅力は外はガリっと中はもっちりの食感と

クープがバクっと開いたボリューミーな外見。


見てるだけでそそられる美味しそうなそのポイントは、

釜の中でしっかり膨らむ(釜伸びがいい)かどうか。


グルテンの形成や発酵の具合など、いろんな要素が絡み合うようだけど、

ミネラルによるグルテンの引き締め度合いもその要因のひとつらしい。


その役目を担うのが塩なのだけど、

いくら引き締めたいからってたくさん入れるわけにはいかない。


なんか手はないかと探していたら、閃いた。

よし硬水で試してみよう。



近所のスーパーで硬水を探してみたけど、手ごろなものが見当たらず。

仕方がないから、2Lのコントレックスにしました。


ちなみに硬度はミネラルの含有量で呼び方が決まり、

0~60mg/Lを軟水、60~120mg/Lを中軟水、120~180mg/Lを硬水、180mg/L~を超硬水

コントレックスはなんと1468mg/L。超硬水の端っこって感じ。極振りです。


さて、硬度にビビりながら超硬水を使ってパンを作ってみると、

はい、確かに、ちゃんと手ごたえがありました。


焼く前、生地がダレずに締まってて、扱いがとても楽だったし、

焼き上がりもしっかりと膨らんで、大(自己)満足!嬉しい!

やっぱこれですよ。


お座布団になっちゃっても別に食べられるけど、

釜から出したときのおお!っていうワクワク感は、

やっぱり大きく膨らんでいないとね!


小麦粉400g、お水320g(対小麦粉80%)、塩8g(対小麦粉2%)、イースト2g(対小麦粉0.5%)


ところがよ。喜んだのも束の間、


なんと、味がないじゃないのよ...。

いや、味がないわけじゃないんだけど、…...無......って感じなのよ。

入れ忘れたっけって思うほど、塩味を感じない…。

舌が馬鹿になったか…。いや、もともと良くもないけどさ。


噛めば噛むほど味わいが...味わいが...出て...こない…。

加えて、全体的にはちょっとだけ、色が濃いところはもうしっかりと苦い。

しかも後に引くような苦味。



焼き上がりはしっかり膨らんで、確かに、旨そうな見た目も匂いもしてた。

だのに、こんな味になるなんて思ってもみなかった。

思わぬところからパンチが飛んできた気分。


後日、14mg/Lの軟水で作ってみたら、甘さと塩味をはっきりと感じれた。

後に引くような苦味もなく、(゚д゚)ウマーという余韻で終われた。んー至福。


案外、忘れがちだけど、水の影響ってのは、ホント大きい。コーヒーと同じ。



最後に、パン作ってみようって思ったきっかけのYoutubeチャンネルをご紹介。
youtu.be

自分好みのコーヒーレシピ作り

とっても久しぶりの更新となってしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか。
ほんとに、あっという間に時間が過ぎるので、とてもビビっております。

ここ最近は市役所行ったり、税務署行ったり、いろいろ契約したりと
オンラインショップのオープンに向けて準備をしておりました。

準備が整ったらここでもご報告させていただきますので、
ご興味がある方には是非、覗いていただきたいです。


さて最近、ハード系のパンを作ることが多いのですが、
パンの世界にはレシピを比率で表した「ベイカーズパーセント」というものがあります。
これは、小麦粉の重量(g)に対する割合で、使う材料の重量(g)を表したものです。

これの何が便利かというと細かいレシピを覚える必要がなくなり、
必要な材料を簡単に計算できることなんです。

例えば、ベイカーズパーセントを水80%、塩2%、イースト0.5%としたとき、
小麦粉300gなら水240g、塩6g、イースト1.5g
小麦粉800gなら水640g、塩16g、イースト4g
って、簡単にわかるので、
たくさん作りたいときも小ぶりのパンひとつだけでいいときも楽ちんです。


実は、コーヒーの世界でもベイカーズパーセントのように
レシピを比率で表した「抽出比率(Brew Ratio)」というものがあります。
yohaku-no-oto.hatenablog.com
yohaku-no-oto.hatenablog.com


大抵は「抽出比率〇〇倍」という形で表現され、
粉量(g)に対する割合で、必要な湯量(g)を表したものです。

例えば抽出比率を16倍に設定すると、粉を15g使うならお湯は270g必要だし、
粉を40g使うなら640gのお湯が必要、といった具合です。

誰かにコーヒーを淹れてもらったとき、レシピを聞かずに
「これって何倍で淹れてる?」って聞くことがよくありますが、
それは、比率さえわかれば、自分で淹れるときの目安になるからです。

ボクがそうだったのですが、始めたころは教わったレシピでひたすら淹れていました。
ひとつのレシピをひたすら繰り返すことは、始めのうちはとても大切なことですが、
もし淹れることになれてきて、いろんなコーヒーを淹れてみたいってなってきたら、
いろんな比率で、ぜひ試してほしいです。

比率をいろいろいじるだけで、びっくりするぐらい味わいが変わってしまうので、
普段からコーヒーを淹れていて面白い発見をしてみたい方には特にお勧めです。
ボクは12~20倍の範囲で調整していて、極深煎りを飲むならこっくりと12倍、
浅煎りを飲むならさらっと18倍で、みたいなイメージで淹れることが多いです。


この「抽出比率を何倍に設定するか」にこそ個々人の好みが現れると思うので、
いろいろな抽出比率を試して、自分にあった割合を探してみるのも楽しいと思います。

ものおもいにふける

業界の中にいると人知れず...いや業界に限らず日常的に...
そして、自らも知らぬうちに..、
暗黙の了解やタブーに同意していることが多々あります。

例えば、ドリップはお湯を落とし切ってはいけない、とか。
蒸らさないと美味しいコーヒーは淹れられない、とか。
ポルタフィルタは洗剤で洗ってはいけない、とか。


「なぜそういわれているのか」
そういった咀嚼をせずにそのままゴクンと飲み込んでしまった情報が、
様々な価値判断の前提として無意識下で働くことが多くあります。
もちろん若手のころは、シャニムニ働いていたので、
飲み込むしかなかったとも言えますが。


ただ理由に意識を向け、なぜそうなのかという自問自答を通して、
そういったものに向き合うととても多くの「思い込み」に気づくことができます。
それはとても面白いほどに。

だから考えることが好き。
だから言葉の力にビビる。

自分好みのコーヒーの淹れ方

昨日、とても久しぶりに考えごとにふけりました。

昔はそんなことなかったんですけど、
年を取ったからなのか、はたまた
集中力が続かなくなったからなのか、
部屋の中をぐるぐると歩き回りながら考えてます。

そのせいか、全く眠れませんでしたけど…。

一度入ってしまったスイッチは、
疲れ切らないとOFFにできないのは悪い癖ですね。


一体何をそんなに考え込んでいたのかと言えば、
コーヒーの淹れ方についてでした。

気づけばA4コピー用紙が4枚分になっていましたが、
夜になるころには飽きちゃって、
結局なににそんなに引っ掛かっていたのか、
忘れてしまいましたけど。


今朝、メモを見返してみましたが、ひとことでまとめるなら、
「好みの抽出比率は、口当たりがウェットかどうかで決める」
でした。

抽出比率というのは、粉量と湯量の比率のことです。
例えば、10gの粉と180gのお湯を使うなら、抽出比率は18倍です。

大昔、コーヒーを淹れるときに悩んでいたのが、
粉はどれくらい使うべきなのか、お湯はどれくらい入れればいいのか、でした。

「粉を30g使う場合はお湯は●●だよ」って教わっても、
じゃぁ、粉が15gの場合はどうしたらいいの?ってのが分かりません。

でもこの抽出比率があれば、粉量が30gでも15gでも簡単に湯量を計算できます。
逆に、マグカップ1杯(300ml弱)くらいのコーヒーを作りたいときにも、
簡単に粉量を計算できるので、とても便利です。

自分の好みの抽出比率を知っておくと、初見のお豆さんであっても
1、2回くらいで美味しく淹れられるので便利です。


この抽出比率が、味わいへ大きく影響する話は以前しました。
yohaku-no-oto.hatenablog.com

ボクはいつも18倍で淹れるんですけど、
お豆によっては17倍にしたり20倍にしたりしてます。

こんなふうに抽出比率を調整するとき、一体何を見ているのかというと、
コーヒーを口に含んだとき、口の中がしっとりしたままかどうか、なんです。

抽出比率を高くしていくにつれて、しっとりとした口当たりが、
段々と乾いた感じになっていくんです。ドライになっていく。

この「しっとり感が消えていく感じ」がわかると、
どんなコーヒーでも自分好みに淹れられるんじゃないかなって思います。


もちろん厳密に言えば、抽出比率だけの話ではなく、挽き目の影響も受けます。
でもボクがそうであったように、挽き目の調整はわかりにくいものです。

なので、始めのうちは、挽き目は濃度調整のためと割り切って、
好みの抽出比率を見つけに行く方が、割と簡単に好みのコーヒーに
たどり着けるんじゃないかなって思います。

真似することの大切さ

Instagramで見つけた画像を真似して描いてみましたが、一発目はこんな感じですw


誰かの真似をすることで、観察力の分解能が上がる気がする。

29歳のとき、人生で初めて飲食店で働いた。トレーニングのときメニューの写真と見比べながら作ったはずなのに、出来上がってみればなんだか違うように見えた。でもどこが違うのかわからなかったから、写真に撮って間違い探しをしたら全然違かった。一体何を見ていたんだと自分でもびっくりするくらいに。でも一度その違いに気づくことができたから、もう次は間違えないし、間違えても気づくことができるようになった。

このとき、見ている深さが変わったかのように、それまでとは違うように見ることができた。

自分がどのようにもの見ているのかを知りたいなら、描いてみればいい。見たままに描いてみればいい。そして見比べてみればいい。ちゃんと見たままに描けたのか。見たままに描いたつもりなのにできていない部分に気づいたなら、そこを消してまた描いてみる。その繰り返しが、観察力を鍛えるのだと思う。簡単な言葉で言えば、しっかり見る力を鍛えられるのだと思う。何が違うのか、どこが違うのか、どうしたら同じに見えるのか。水玉なんかを描いたらよくわかると思う。自分が描いた水玉は水玉には見えないから。それがだんだんと水玉に見えてくる過程が面白い。

んで、これって目だけじゃないと思う。耳も舌も鼻も同じだと思うんだ。音楽も料理も珈琲も。何かを再現することが、観察力を鍛え、繰り返すことで結果的に再現できるようになってくるんだと思う。脳の右側で描けがそうであったように。

さらに、ビジネスもそうなんじゃないかなって思う。成功している人のやり方をとことん真似しろって聞いたことがあるけど、それも同じことなんだなって思う。それはもしかしたら物語を書くことや詩を書くことも同じなんじゃないだろうか。


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上の玉ねぎとトマトですが、迷いながらどうしていいのかわからないままに描いてます。でも色合いや濃淡の付き方とか俯瞰したときに愛らしく可愛いって思います。DIYでもそうなんですけど、それらしく作るってのは、とても面白いです。どうしたらそれらしく見えるのか。「それらしく」ってのはいったい何なのか。自分はいったいなにをもって「それらしい」と感じているのか。そういった自問自答の繰り返しで、目を深めながら自分を知っていく過程のようで。傍からどうみえるかはあまり気にならず、自分の中で「あ、かわい」って思えるだけで胸いっぱいというか。