「余白の音」に耳を澄ませて。

珈琲とからだ、ときどき言葉

カッピング


カッピングは、一定のルールに従って抽出されたコーヒーの味わいを通して、その原材料である生豆の品質や焙煎の技術、製品の品質を評価するために行われます。

カッピングは、さまざまにある抽出方法の一つです。生豆や製品の品質や焙煎技術の評価だと言われ、しかもやってみるといろいろとお作法があるし、あんなに音を立てて啜るんですか?!なんてことがあると、なんだか特別は方法に感じるものです。ボクも最初の頃はそうでしたが。

実際には、粉にお湯を触れさせて成分を抽出するだけなので、プアオーバーやエスプレッソなど一般的な抽出方法の一つでしかありません。抽出方法の一つと考えると、挽き目や抽出比率(Brew Ratio:粉とお湯の比)、お湯の温度などで結果が変わることは分かり切ったことです。お湯の温度は沸かし立て使うとして、挽き目や抽出比率はどう設定したらいいのでしょうか。

特に今は焙煎の技術を評価するためにカッピングしているので、その場合、カッピングのレシピはどのように設定したらいいのでしょうか。

例えば、粗挽きでカッピングしている焙煎士と細挽きでカッピングしている焙煎士がいるとする。このふたりの焙煎方法に差は生まれるのだろうか。例えば同じものを表現しようとしても焼き方は変わるんじゃないだろうか。前者のカップは基本的に薄くなりがちなので、焼きを入れるような焙煎になるんじゃないだろうか。逆に後者のカップは基本的に濃くなりがちなので、焼きを控えるような焙煎になるんじゃないだろうか。それとも同じものを表現しようとしているならカッピングのレシピに関わらず、焙煎方法は同じになるのだろうか。

でもなぁ、前者の場合、粗挽きにしてしまうことで重たい成分である苦味系を除外してることになるから、もし焙煎でそれらを生成してしまっていても気にする必要のないレシピともいえるじゃないか。そうなると、少しでも収率が上がるような抽出方法を取ろうものなら欠点が露見することになる…。

ってなるとやっぱり、後者のように収率が高くなるよう敢えて細挽きにしておくというのはいいことなんじゃないだろうか。

一方で抽出比率はどうだろうか。これも明確なことは言えないなぁ。カッピングの際にカップの濃度に関して思ったことは、薄めに淹れたカップは香りがわかりやすくなる一方で、味覚的欠点が隠れやすいこと。これは挽き目を粗くするのと同じことになるので、焙煎技術を評価するためのレシピとしてはちょっといただけませんね。となると、濃い目に淹れてあげた方がいいのでしょうか。つまり抽出比率を低めに…。

となるんですけど、試しに以下の4カップを用意して比較してみたんです。できる人は是非やってみてください。
A. 細挽き#1、BR16
B. 細挽き#1、BR20
C. 中挽き#4、BR16
D. 中挽き#4、BR20

この比較でボクが感じたことは、AとC、BとDが似てるなぁということでした。濃度はもちろん違います。けど、濃度、味の強さが違うだけで、味わいの構成が同じように感じたんです。たまたまなんかもしれないんですけど、挽き目が同じやつの方が味わいが近くなると思ってたんで、正直びっくりしました。そしてAとCは質感がよく、量感もあり、味わいのバランスも満足感もあって、手前味噌ですが美味しく感じました。その一方で、BとDは収率が高すぎていて、バランスを損ねていました。こうなると、抽出比率が高いものほど収率は上がりやすいことになります。確かにSCAのBrewing Control Chartを見ると抽出比率の線の変化の方が挽き目よりも大きいみたいなので、これも合点がいきました。となると、焙煎による欠点をしっかり確認するためには、抽出比率を高めた方がいいということになりそうです。

という感じで、もう何年も前からBのレシピでカッピングをしているわけなんです。
が、最近ちょっと悩んでるのが、生臭い香りなんですよねぇ。えぐみはないんですけど、生木のような乾いていない感じの香りがでちゃうんです。


なんかちょっと思うのは、Bのようなレシピで評価を続けていると、本来なら苦味がでるようなレシピなのに苦味がでないような焙煎をしていることになるんじゃないかと思うんです。すると、焼けている状態と焼けていない状態の狭間を責めることになるのだろうから、焼けてないケースが出やすくなるんじゃないだろうか、と思うわけです。それが今の悩みの原因なのかなと思ったりするんです。

ある程度の欠点、苦味が出るのはしょうがないとして、目を瞑った方がいいんでしょうか。例えばAのようなレシピでチェックをするべきなんでしょうか…。