「余白の音」に耳を澄ませて。

珈琲とからだ、ときどき言葉

さっきの話をもう少し…

やってみて思ったのは、投入量が80gであっても1.4kpaの火力が必要ということだ。バッチサイズが小さくなれば火力も低くて問題がないと思っていたけどそうではないみたいだ。

バッチサイズが大きくなると必要となる熱量が増えるため、火力や投入温度をあげなきゃいけない。逆に、小さくなれば火力は小さくてもいいのかなって思っていた。そりゃ、バッチサイズに応じて含水量が決まるわけで、蒸発に必要な熱量も増減するわけで、理屈としては間違ってないよなって思う。

でもなんでそうならなかったのか。

もしかしたら一番影響があるのは、攪拌効率ではないだろうか。って思った。

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例えば1kgの固体に熱を与えると熱伝導によって熱が伝わっていき、その早さは熱伝導率に比例する。一方で、1kgの粒体に熱を与えた場合、攪拌によって温まった粒子が移動し熱が拡散され、その早さはその攪拌能力に比例する…のではないだろうか。もしそうなのであれば、攪拌能力を熱伝導率と見立ててもいいのでは?なんて思う。

生豆の焙煎を考えるとき熱伝導率は高いほうがいいんじゃないかなぁって思ったりする。中心部分まで熱を素早く届けるためには必要な要素だと思う。だから、ナチュラルよりもウォッシュドの方が焼きやすく、キレイな印象になるんじゃないだろうか。そこから妄想すれば、釜に投入された生豆全体に素早く熱量を届ける(熱伝導率を高める)には、バッチサイズを下げて攪拌効率を上げることが必要なんじゃなかろうか。

バッチサイズが大きくなればなるほど、投入した生豆全体が一様になるまでに時間を要し、そもそも同じ状態になりにくくなるというのは想像できるので、バッチサイズは焼きの均一性を左右すると言えるのでは。

以前にも書いたけど、発火の原理は、熱が拡散されず留まることで、部材が発火温度を超えてしまい火が付く。もし、バッチサイズが大きく拡散能力が低い状態で、火力が大きければ、発火と同じ状況になるのは理解できる(攪拌効率に対して火力が高い、火力に対して攪拌効率が低い)。ゆえに火力を抑えざるを得ない。では、バッチサイズを小さくしたらどうなるだろうか。攪拌効率が向上し、発火のリスク(実際は発火しないけども表面焼けのリスク)が下がるから、火力を上げても問題ないんじゃないだろうか。

※火力は、生豆の含水量や硬さ、精製処理によって決定されると思っていたけど、攪拌効率(バッチサイズ)よって決定すべきなのかも?

ん?ちょっと待てよ。火力に対して攪拌効率が高すぎる(or攪拌効率に対して火力が弱い)と、どうなっちゃうんだ…。…乾燥するのか…乾いた木の皮の印象になるのか。そうなると単純にバッチサイズを下げてしまうと攪拌効率の高さに火力が間に合わず、乾いた印象になるのか。そうなると、バッチサイズが小さいほど火力を高くしていかないと、適切に焙煎できなくなるな。

さっき書いたようなとんでもない条件で焙煎しても焼けてしまったような印象を受けないのは、そういう理由からなのかもしれない。