「余白の音」に耳を澄ませて。

珈琲とからだ、ときどき言葉

液体の重さと弾力の違い。そして透明感。

まだ厳密に把握しきれてはいないのですが、今のところの理解と課題を言語化しておこうと思います。

ここ1カ月ほど、ダンパを全閉にし排気ファンも取り外し、できる限り全閉の状態で焙煎をしてきました。このやり方だと、概ね下のような印象になることがわかりました。

 〇質感の向上(液体が非常になめらかになったこと)
 〇量感の増加(重さや粘性を感じるようになったこと)
 〇酸質の悪化(お酢のような印象で、渋みを伴う場合もある)


そんな中、以前試し焼きしたバッチが意外といい感じになっていたので、改めて焙煎してみました。そのやり方は、上記のような全閉状態で焙煎し始め、途中で排気ファンだけONにするというものでした。

(ディスカバリーだと、排気ファンが強すぎてダンパを閉めるだけでは全閉状態を作れないから、こんな変なことをやっているだけで、3kg釜や5kg釜であればダンパの全閉だけで事足りると思われます)

このバッチからは、質感の良さが維持されつつ、液体の弾力を強く感じました。液体にパンっとした張りを感じたのです。全閉時代には重いと感じていたものが、重いというよりも張りがあるものに変わりました。

そしてふと、液体の「重さ、粘性」と「弾力、厚み、張り、立体感」は違うものなんじゃないかと思いました。同じものだと思っていただけに非常に驚きましたし、自分はどちらを表現していきたいのか明確にしなくちゃなと思いました。この液体の弾力は、飲み心地というかこっくり感というか、特に冷めたときの液体の存在感として大事なものだと思うので、重さよりも弾力を大事にしようと思います。

そして酸味の質もまた、重苦しいものから明るく軽いものに変わっていきました。


ある程度イメージした感じに仕上がってきたので、ランドマークとしているお豆と比較カッピングしてみたんですけど…圧倒的に違いました。

何が違ったのか。

確かに、滑らかだし立体感があり、口当たりも飲み心地もよい印象になってはいます。酸味も穏やかで忌避するようなものでもありません。ですが…全く透明感がないんです。液体に透明感が全く感じられないのです。

そもそも火がちゃんと通ってしまえば、自然と透明感が生まれるものだと思っていたので、あまり気にせずにやってきたんですけど、どうやらそうじゃないみたいです。いろいろ試行錯誤してみたのですが、同じところをぐるぐる回っているというか、桁が違うというか、土俵が違うというか、レベルが違うというか…。今のやり方の延長線上にはない気がしています。


「透明感」という視点にたって、改めて全閉バージョンと比較してみると、どちらも濁りがあるように思われますが、特に途中から排気ファンをONにしたバージョンは、クレヨンで真っ黒に塗りつぶしたように感じました。液体の表面が滑らかなだけに、気づかずにいましたが、「真っ黒け」って感じに塗りつぶされています。いわゆる、すりガラスってやつです。

全閉バージョンにも似たようなものがあることを踏まえると、排気ファンをONにして対流を起こしたことで供給される熱量が上昇し、それらが焼き付けられ、濃度、密度が上がり、結果、真っ黒けになった感じでしょうか。過去にガス圧を上昇させた際にも真っ黒けを経験しているので、おそらく同じ現象だと思われます。

大切なのは、そもそも存在してしまっているこの濁り感、不透明感を何とかしなくては、透明感は得られないということ。酸味をきれいに見せるためにも透明感は必須です。
さてどうしたもんかなぁ。。。